lukemori's blog

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ヤマト運輸 小倉昌男「経営学」読了メモ

個人的なメモとして。

 

クロネコヤマトさんには小さい頃からいい印象しかなかった。

クール宅急便とかゴルフ便とかスキー宅急便とか次々に新サービスを立ち上げてすごいなぁ、と。

なので「もともといい会社だったヤマト運輸が立ち上げた事業」というイメージだった。

ところが実は戦後経営が右肩下がりになっていったヤマト運輸の生き残りをかけた事業だった。これがうまくいかなかったらアウトだった、というのは目から鱗だった。

 

以下iPhoneでメモったもの。本の内容とか感じたこととか。

■プロローグ
大恩ある三越が理不尽になったため契約解消。それを可能にしたのは宅急便事業。
■第1章
□戦前は関東内トラック配送業で成功。しかし戦後は長距離トラック輸送が勃興。創業者がGOと言わず出遅れた。新規開業の挨拶に行っても大口顧客は抑えられていた。創業者が成功体験に囚われて出遅れた。後発の悲哀。
□利益率がヤマトだけ低い。何故だ!?大口取引よりも小口取引の方が単価がよい事にヤマトだけ気づいてなかった。
それまでは「小口は手間がかかるから」と断っていたので今更小口取引させてくれと行っても虫が良いと断られた。
料金をあげて向こうに断らせればよかった。
□シェアが高ければ軍資金が多くなりより多くの顧客を得て事業が伸びる。好循環と悪循環の会社がある。突破点が必要。ヤマトは生産性を突破点にしようと考えた。
■第2章
マーケティング・ 市場という概念が物流業界にはなかったので驚いた。
□業態という概念
□労使共同体→経営情報を共有すれば従業員が自発的に考えて動いてくれる
■第3章
□戦後は通運(鉄道貨物のローカル担当)や百貨店で拡大したが国鉄と百貨店の退潮で縮小。
吉野家を見て業種絞り込みを検討。
■第4章
□商業輸送に比べ民間輸送は非定型で偶発的で需要がつかめず誰もやらなかったが、マスで見れば必ず需要はあるので偶発的ではない。
□酒屋などに取次店になってもらう事で手数料副収入で双方にメリットがあった。
□拠点初期投資は警察署の1200を目安に。
□儲かるのか?→マンハッタンでUPSの車両が4台止まってるのを見て車両あたり損益分岐で考えればいいと理解→荷物密度→総量
■第5章 ジャルパック=サービスである旅行を「商品化」
■第6章 供給者の論理、利用者の論理
□不在なのがいかん、不在時に来るのがいかん
■第7章
□質とコストはトレードオフ。優先するものを考えるのが経営者の仕事。「サービスが先。利益が後」で立ち上げた。
・「社員が先。荷物が後」「車両が先。荷物が後」
□安全第一営業第二。第二を出さなければ第一が浸透しない。
■第9章
□全員経営→目標は会社が、やり方は従業員が。従業員のやる気さえ喚起できればイケる。
□赤提灯で会社の不服をいうのは当事者意識が強いから。本当に嫌なら去る。
□不満発生はいつか→やり方を強制され提案も頭ごなしに否定される時。
□日本人は教育水準がブルーもホワイトも高いのでむしろ細かい指導は不要。
□むしろ経営者のビジョンが中間管理職によって寸断される危険性の方が高い。
■第10章
□従業員愛すべし組合員叩くべし→同一人物が立場によって変わるから。
・正社員 お客様に会う仕事 7時間週5日定年60歳
準社員 間接部門 7時間週5日一年契約
契約社員 間接部門 1日4時間とか週3日とか。
□昭和47年までは事務職ホワイトと労務職ブルーになってたが統一した。
■第12章
□スキーとかゴルフとかクールとか本とか。
□宅急便は頭打ちと言われたが新しい需要が生まれるのでカバー率100%が強みに。
■第13章
□株価が上がり資金調達が容易に。
転換社債=発行時は要利払い債務だが、株価が転換価格を越すと随時株式に転換される。株価低迷だと転換されず一気に返済義務。
□日銭が入る商売は本当に助かるし有利。
■第14章
□栄枯盛衰は世の習い。長期を見通すべし。
□経営は論理の積み重ね。
□日本型経営の一番悪いところは年功序列
□ヤマトは部下からの評価と同僚からの評価を取り入れ、人柄を評価した。
□ライン・スタッフ制の弊害。スタッフ(間接)部門がライン(基幹)部門よりも偉いと勘違いする。本来は基幹部門から間接業務を取り除き機動性を確保する事が目的。
□個人償却制=売上から3割か4割抜く。それから車両償却費や燃料費や修繕費を引いたものが給料。運転手も売上頑張るし事故を避ける。自宅に車両を持ち帰りも。企業は車庫不要に。
年功序列にするとピラミッドになる。
□フラットにする目的は、企業の利益計算単位をなるべく末端の第一線に移すこと。これは権限委譲しないとできない。
□利益責任を第一線に委譲すると経営にスピードが出るし社員のやる気が出る。
□白色労働が低生産性→年功序列のせいでは。
□人事評価は上司の目はあてにならない。
□人柄を部下と同僚から評価した。上下を外して平均値を取る。
■第15章 論理的思考と高い倫理観。
□社員は常に見てる。経営者率先垂範。
#15-1論理的思考
 □経営には計画が、計画には予測が必要。予測が当たるかどうか鼎の軽重が問われる!
 □与件が与えられ目標が決められ行動に移す。期待した成果が出るかどうかは、経営者の読みが浅いか深いかにかかっている!
 □人間予測よりも経営予測の方が楽。PDCAが重要。
#15-2 時代の風を読む
 □時代は10年ごとに変わる。
#15-6 政治家に頼るな。自助努力あるのみ。
 □政治家に頼むと中途半端な折衷案になる。
 □総会屋も断る。株主総会は経営者の晴舞台。
 □断り方大事。依頼者の面子と自尊心を超大事
#15-7 マスコミとの付き合い方
 □説明のために頭が整理される
 □業界や経済界の事を教えてもらえる
 □社会での認知度や従業員が誇りを持てる
 □経営者は優れた広報マンたれ
#15-8 明るい性格
 □性格は努力によって変わる
 □新日鉄稲山会長は、常磐津節の月例会で初心者でも「声が大きくてよろしい。上手くなりますよ」と必ず何か褒める。器量が大きい。
#15-9 身銭を切ること
 □ 社内懇親会を経費にしては示しがつかぬ。
 ・管理職兼務取締役→部長職の標準給料の20%が役員報酬(A)
 ・役付き役員→常務は8A専務は10A社長は15A
 ・役員賞与は役員報酬の1.8倍を年2回→役員は決算時にしか報酬を出せないから、毎月貯めておく。
#15-10 高い倫理観
 □企業の目的は利益ではなく永続である
 □土地機械など資産を稼働させ、財やサービスで利用者に貢献し、雇用で社会を支える。